家相は人間の五感が生み出した学問

かつて、この世には電気もガスもありませんでした。
暗くても照明をつけられず、
寒くても暑くても、エアコンに頼れない生活。

 

私たちのご先祖様は、
太陽や火から明るさと暖をいただき、
木陰や水で涼を取り・・・と、
自然の恵みをうまく生かしながら子孫を残してきたのです。

 

同時に、生きるか/死ぬかは気候条件に左右されていましたから
自ずと自然界の変化にも敏感になっていたはず。
空気の流れやニオイから雨の気配を感じ、
風向きや気温から季節の移り変わりを知り、
その変化に合わせて自分たちの生活を変えていく日々。

 

時計なんて見なくても、天体(太陽、月、星)の位置や
自分自身の身体の感覚(空腹、眠気など)で
正確に時間を把握していたことでしょう。

 

なんでもかんでも機械でコントロールできるのが
当たり前の時代を生きる私たちとは比較にならないほど、
五感が鋭く非常にタフだったと考えられます。

 

家相学は、そんな人々の営みの中から生まれた学問。
どうすれば夏場でも涼しく快適に暮らせるか?
冬場の厳しい寒さを乗り越えて春まで生き延びるには?
敵の夜襲に打ち勝つにはどの部屋に寝るべきなのか?

 

家はどの向きに建てれば良いのか、
窓はどこにつけるべきなのか。

 

・・・今よりずっと厳しい時代を生きていたご先祖様たちは、
未来に命をつなぐためにあれこれ考え、
思考錯誤の末に家相学を生み出したのです。

 

このように考えると、家相学とは
なんともありがたい学問のように思えてきます。
家相をただの迷信と言うのはご先祖様に失礼ですよね。

 

しかし、だからといってそれを妄信するのは考え物。
時代と共に人のライフスタイルが変われば
通用しなくなる考え方も含まれているからです。

時代と共に変わるもの

科学技術は目覚ましい進歩を遂げ、
私たちの生活は飛躍的に便利になりました。

 

今は、スイッチ一つで照明が灯りますし
火を起こすのも楽チン、しかも安全!
寒さ、暑さも機械が自動的にコントロールしてくれます。

 

古の人々には想像もつかなかった時代なのかもしれませんよね。

 

西日が入り過ぎて暑いのであれば
高性能のブラインドやシャッターを閉めれば良いわけですし、
最近の住宅は高断熱・高気密なので
夏の暑さも冬の寒さもへいっちゃら。
万が一の火災が発生したとしても、
延焼を食い止めることができる性能を備えています。

 

「もう、古臭い家相なんて気にしなくて良いんじゃないの?
日当たりと通風さえ問題がなければ、
それで大丈夫なんじゃないの?」

 

そのように考えるのが合理的のようにも思われますが、

 

時代が移り変わっても変わらないこともあります。

 

例えば、太陽は今でも東から上って西に沈みます。
そして、日本には春夏秋冬の四季があります。
私たちは、その自然の摂理の中に生かされている存在である。
・・・この事実も、変わらないことですよね。

 

私たちは、目には見えなくともこの世に流れる
“気”や“エネルギー”の影響を確実に受けて生きています。
ですから、どれだけの技術力を持ったとしても
やはり自然界への畏怖の念や謙虚さは忘れてはいけないのです。

 

現代にあっても、朝は太陽の光を十分に浴びたほうが
シャキッと目覚められますし、
体内のリズムも整いやすくなります。

 

ですから、寝室は東〜南東に設けたほうが良いでしょうし、
リビングは日当たりの良い南側に作ったほうが
住まう人の気持ちもポジティブになります。

 

こういったことは、頭で考えるよりも
実践してみることによって身体で実感できるもの。

 

家相は「身体と五感で感じる」学問なのです。

大事なのはバランス!

時代と共に家づくりに求められるものは変わってきますが、
だからといって家相を無視して良いということにはなりません。
先人たちが大自然を生きる上で身に着けてきた知恵ですから、
時代を超えて語り継ぐべきポイントも数多くあります。

 

ただ、そうは言っても古い家相学にとらわれ過ぎて
効率・利便性を損なってしまうのもナンセンス。

 

これからマイホームを建てる方は、
最新の建築技術と家相・風水学をバランスよく取り入れ、
どちらかに偏らないように気を付けましょう!

 

ハウスメーカーとのプランニングの中で
「ん?それってどうなの?偏った考え方なんじゃない?」
と感じた場合は、参考までに他社からも話も聞いてみましょう。

 

最新の建築技術をベースにしつつ、
時代の変化に合わせて程よく家相学を取り入れる。

 

・・・そんな柔軟性のあるメーカーさんとお付き合いできるのが理想的ですね!