「広げる」「ゆったり」がキーワード

「介護が必要になった親と暮らすため」
「自分たちの老後を見据えて、終の棲家とするため」

 

・・・様々な理由から、「高齢者が暮らしやすい家」について
あれこれ考えを巡らせている方もいらっしゃるはず。

 

家相的に見て、重要なキーワードになるのは
「広げる」 「ゆったり」

 

足腰が弱った高齢者は、やがては家の中でも
車椅子を使った移動がメインになる可能性がありますので
玄関、トイレ、バスルーム、部屋・・・、
どこに行くにも、出入り口が狭いと入れません。
一人でもスムーズに出入りできるように、
全ての出入り口を広く作ることが大事です。

 

また、扉も両開きタイプのものにすると
車椅子でも楽に出入りができるようになるでしょう。

 

部屋間の移動がスムーズにできるということは、
高齢者の方の心を安定させる上で重要なポイント

 

なのだとか。

 

「自分一人でトイレに行ける」
「誰かを呼ばなくても行きたい部屋に自分で移動できる」
この自信が奪われてしまうと、
身体や脳の衰えも一気に加速してしまうそうです。

 

ゆったり、ゆっくりした気持ちで
自分のことは自分でやっていただく。
それを見守ることも、一つの親孝行の形なのかもしれません。

 

子育てにも共通することですが、
なんでもかんでも先回りして手助けするのが
本当の優しさ、思いやりではないんですね。

身体に優しい温度のバリアフリー

高齢者にとって、物理的な障害(段差、幅の狭いドアなど)以上に
身体に応えるのは、ズバリ「温度差」。

 

たとえば、エアコンやホットカーペットで温められたリビングから
寒い廊下を通って、さらに寒いトイレへ行き、
そこで下着を脱いで用を足す。

 

若い人でも寒さで身震いしてしまいますので、
体力の衰えた高齢者の方ならばなおさら。
急激な血圧上昇によって脳出血を起こす方も多く、
最悪の場合は死に至ることもあります。

 

トイレやバスルームが
日の当たらない方角にある家相は健康に難あり!
と言われているのも納得できますよね。

 

いわゆる「ヒートショック」と呼ばれる症状ですが、
これを予防するためには家の中での温度差をなくす努力、
間取りの工夫が必要です。

 

手っ取り早い方法は
トイレやバスルームにも暖房をつけて温めておくこと。
高齢者の方が排泄・入浴される前後だけでも、
暖房をつけておくと身体で感じる温度はずいぶん違いますよ。

 

これから家を建てる、もしくはリフォームする方は、

 

  • 床暖房を使って家全体を暖める。
  • 部屋と部屋の仕切りをなるべくなくして、

    ゆるやかにつなぐような間取りにして温度差を小さくする。

 

など、家のスペックや間取りそのものを
バリアフリー仕様に変えるという選択肢もあります。

「畳が落ち着く」の誤解

「高齢者が過ごす部屋は、フローリングよりも畳にすべき。
そのほうが、リラックスして過ごせるだろう。」

 

ハイ、老人=和室というステレオタイプの思い込み!
みなさんも、そう思っていませんか?

 

しかし、高齢者を介護するに当たっては
実はフローリングの洋室のほうがなにかと都合が良いのです。

 

車椅子の移動が楽チンですし、
椅子に座っていれば足も疲れない!
ベッドなら、そのまま横になれますしね。

 

布団を敷いたり片づけたり・・・
といった一連の動作も、老いた身体にはこたえます。
歳を取ったら、「洋室にベッド」という選択肢が手堅いですね。

 

ただ、やはり時には畳のニオイが恋しくなることもあるでしょう。
畳に寝転んでおせんべいを食べてTVを見る。
そんなひと時も、ストレス解消、リラックス法の一つです。

 

和の空間が全くないというのも寂しいですから、
例えばリビングの一画に小上がりを設けて
そこを畳の空間にするというのはいかがでしょうか。

 

自分たちのくつろぎスペースとしてはもちろん、
来客の際に、家族と離れて話をするにもちょうど良い空間です。

 

小上がりスペースを設けること自体は
家相的に見ても特に大きな問題はありません。
段差部分を引き出し式の収納スペースとして活用している強者もいますので、
ぜひ参考にしてみてください。